合格の構成要素は英語エッセイとプリエッセイの出来の2点です。ライティングと英語面接対策の前提となるのが英文読解と英文法、イディオムでの正答率です。結論から書きました。
帰国入試を受験する際の検討事項(初期あるある)
英語で受験できるなら帰国入試、そして帰国子女が4教科受験するケースも難易度を日程順に考察しています。
渋幕中学校を帰国子女が受験するとなると、英語の学習経験があれば帰国入試を受験出来ますが、フランスやドイツ、スペイン語圏となると4教科受験を選ぶこともあるかと。
帰国子女が帰国入試、4教科入試の1月、2月をそれぞれ受験したときの難易度について説明します。この文章を読み進めていくと、講師がどのように入試のシミュレーションをしているかを理解できると同時に、当日に実力を発揮し、時には過去最高の出来の答案を書くことが可能になるヒントを得られます。
入試問題の傾向と難易度、英語については準備に余念がない子が行っている対策と答案の特徴についても書いていて、新たな気付きがあるように詳しく書いています。
帰国入試(英語1教科のみ)の難易度
不合格へのインパクトが大きい順に帰国子女が体感する難易度について。合格者は簡単な問題と口を揃えますが・・・
渋幕の帰国入試(英語1科目)に別記事でまとめたのはコチラ。
英語面接
英語面接での問いは具体的ですが、質問そのものは抽象的で、回答に幅が出ます。受験生によって、異なる展開になり、多様な答えが出現します。つまり、小6には一瞬で答えるのが難しい質問であるのです。
各自の具体的な体験、経験、エピソードとセットにして回答を用意すると容易に答えを思い付くので、単純化して考えると面接で沈黙せず、答えられることでしょう。
準備に怠りない子は、英語面接の対策を真っ先にします。エッセイと内容がダブらないように自分史をまとめます。大きく分けて3つの面接対策をすると効果的です。紙に書き出して、英語の回答を事前に整理しておきます。
- 生まれてからの出来事年表を作成
- 一般的な面接での質問に対する想定問答集の作成
- 回答が難しい面接での質問に対する回答の練習
受験対策の最初に、英語面接の対策をして、全ての対策を終えたと感じたら、再び、英語面接の練習をする児童が合格者に多いです。
エッセイライティング
設問はありがちな題材ですが、日常生活では深く考えることが皆無な内容が出題されます。
似たような内容の答案が8割を超えるので、多数派の答案を書くお子さんがほとんどです。合格を予見させる児童は、毎回、少数派の視点に立って答案を書くので、テスト形式で練習していて、講師も早い段階で意識します。
具体例を挙げましょう。
“How would you treat a stray dog? What would you do when you see a lost dog in front of you?”
渋幕中学校 エッセイ・ライティング予想問題
I would take it to the police station. と書く児童と、I would leave it alone. と結論付ける子に分かれます。人情論としては「放っておく」結論は少数派になるように出題者は事前に想像して問題を作りますので、面倒をちゃんと見る答案を書いても特段、奇異なことではありません。
着眼に独自性がある答案の方が、採点者としては高い得点を付すのに迷わずに済みます。個性ある児童を集めて入学後に取り出し英語の授業を行いたい学級運営を念頭に置くと合理的な判断です。多様な考えを持った合格者を確保して、授業に活気をもたらしたいからです。
入学後に英語の授業では毎時間のようにディスカッション、ペアワークで活発な意見を交換します。同じ意見の生徒ばかりになってしまうと、授業がつまらなくなってしまいます。少数派の意見を答案に書いても論理的に筋が通っていれば、高く評価する所以です。
いつも少数派の意見に立脚して答案を書く児童の思考回路とは・・・
結論が一見、常識外れになってしまうので、根拠、理由付けをしっかり述べるのに語数を費やす努力をしています。説得力がある理論構成で書かないと、論理的に破綻してしまうことを知っているので、英文を慎重に書き進めていきます。
リスニング
苦手な題材が出題される可能性はゼロではありません。限られた試験時間でのリスニング問題です。試験で緊張して難しく感じることもあるようです。簡単だと言われたことがありますが、講師としては気を遣って、化学、物理、歴史、文学、美術の5つに領域分けして均等に練習をさせます。
英単語、英熟語、イディオム
問題数が多いのですが、問題慣れしている為か、特に、解けなくて困ることはないようです。
英語面接、エッセイライティング、リスニングの3つがありますから、対策学習もウェイトが高い領域の学習を終えた後が理にかなっていて効率が良いです。
4教科入試(一般生と同じ)の難易度
帰国入試は英語1科目なので、4教科入試で受験についても言及を。過去問を解く時期が早過ぎて入試直前には忘れている場合もあります。
国語
文章の選定にかなり意図を感じます。設問はそれなりに解けても、文章の意味が分からないと言われたことがあり、講師としても実に不思議な気持ちになったことがあります。
設問の正答数で判断するか、文章を読み取れたか否かで判断するかによりますが、文章は読みにくく感じることがあります。
算数
帰国生にとって完全解答が難しい設問があります。試験時間の配分に注意して、全体で自分にとっての最高得点になる順番で問題を解くと有意義です。
帰国生にとって文章題の込み入った問題は不利になってしまう懸念があるので、割合と比を多用する問題については完答を目指すのも悪くないですが、少し冷静に試験時間中に判断する練習をしておいた方が良いです。
図形については、帰国子女には空間図形を難しく感じる前提で出題者は問題を作成します。一般論として、標準的な問題を出題するという期待を出来るので、実際の問題を解いてみて、調べてみると当日、空間図形の問題解き方を検討する上で役立ちます。
理科
分野によって、解けない問題があります。児童によっては問題を大量に解いて練習させるのでなく、数を絞って部分点を狙う解き方を練習した方が本人のためになることがあります。
設問の文章が長いので、読んでいて途中で混乱して意味が分からなくなってしまうことがあるかもしれません。一度、深呼吸して、再び問題文を読むと意味を理解できるかもしれません。
人気校の入試問題は受験しない子も、目を通すために難しく感じるように、恣意的に長ったらしい問題文にするのがトレンドです。世間の目もあるので、注目を集めている学校の問題は難しく見えるのです。
一方で、入試問題が市販の問題集に掲載されない日程がある場合や一般には非公表になっている問題は簡単な問題が出題されていることがあります。限られた人しか問題を目にしないので、見栄を張って難しい問題を受験生に解かせる必要もなく、小6に相応しいレベルの問題が出ることも多々あります。
社会
単純な暗記で解かない問題が中心なので、クイズのようで、解いていて充実感すら感じるかもしれません。問題の意図をしっかり見抜く練習をした上で、基礎的な用語を対応させられるか、確認すると難しく感じないで済みます。
記述式の答案を書くとき、字数制限がある答案を書くときのコツですが、結論を文頭に書くと減点を被る危険が減少します。日本語だと結論を文末に書いた方が速く文章を書けるのですが、意外と、字数制限がある問題は、文の最後になるとはみ出してしまい、肝心な部分を書き落としてしまうことがあるからです。
例) 明治後半に政府が鉄道の国有化を推進した理由を30文字以内で書け。
渋幕中学校 社会の予想(某一貫校の過去問をそのまま出題(苦笑)さて、どこでしょう?
模範解答) 戦争遂行時 に迅速に物 資を輸送す るため。(20文字)
解答例) 軍需物資を 速く、確実 に運び、戦 争で不利に ならないた め。(27文字)
要するに、「戦争遂行目的」の6文字が書いてあれば正解です。模範解答は文頭に書いていますが、回答例では文末に位置しています。結論を解答の冒頭部分に書くことで、書き忘れを防止できるのがウレシイですね。
2月の後期4教科入試の難易度
世間の関心が低い日程であるが故に、事前に対策をしておくと、解き易くなります。ただ、直前期には対策に時間をかけるのは不可能に近いので、早い時期に傾向と対策することが欠かせません。
国語
読みやすい文章が選ばれる確率が高いので、文章の内容を理解するのは苦労しないです。設問は答えを決めるのに手間取るので、難しく感じると分析しています。
算数
標準的な問題が出題されます。ただ日程が影響し、やや難しく感じると思います。細かな部分点を積み上げていく解き方を徹底することが求められます。
入試のピーク時にやってくる算数の試験なので、平常心を保つと解き方が頭に浮かんでくることが多くなり、合格に近付きます。
入試が連続する中で、算数の問題を解くときは、意外とストレスと緊張が入り混じった状態で受験生は解いているので、解ける問題が解かなかったり、逆に、メンタル管理が上手な子は周囲の受験生とは無関係に淡々と問題を平常心で解いて正解を重ねていきます。
緊張を鎮めて解く練習とメンタルの状態が悪いときに敢えて問題を解く練習もしてみると、心の状態を管理する訓練になるので、変な練習ですけど、トライしてみると入試当日に心を落ち着けることが可能になります。
理科
出題傾向を予測しやすいので、入試問題の予想が当たった場合、外れた場合の2つ通りの練習をしておくと、問題を簡単に感じて好ましい結果になりがちです。
予想が当たると気が抜けて計算ミスが出やすくなります。的中で浮かれてしまい、文章を読み間違えて答えを間違えてしまうこともあります。予想を立てやすい試験の場合といえども、正答率が上下する要因を事前に検討しておくと良い結果を迎えられます。
社会
歴史と公民は予想の的中率が50%増しになるので、追い込みが効きそうです。問題は単純な設問は出題されないので、標準問題が出題されるとはいえ、簡単に感じることは少ないかも。
1月入試は前年までの出題傾向を精査して予想を立てるので、どうしても的中させるのに苦労します。およその出題予想で直前期の学習範囲を絞っていくことになります。2月入試では、1月入試で出題された内容と同一の出題は避けるのが普通なので、的中しやすくなるのです。
まとめ
帰国入試が英語1科目なので、帰国子女であっても4教科入試を受験することもあるでしょう。入試日程を上手く乗り切れるように、モチベーション維持に努めたいところです。
渋幕中学校、帰国入試の偏差値についてはコチラ。
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